【ロシア】200日の漂流―モスクワ大学留学記2010-2011

2011年02月09日

ロシアの国旗は踏みにじられたのか2

 昨日ブログで扱った、ロシアの国旗が侮辱されたのかどうか、ということは、ようやく日本の主要メディアでも伝えられました。しかしながら、いまだに事実確認の段階であって、事の詳細はいまだにはっきりしておりません。

ロシア、国旗破られ「侮辱」と抗議声明【モスクワ=寺口亮一】ロシア外務省は8日の声明で、7日の「北方領土の日」に都内のロシア大使館近くで同国の国旗が破られるなどの「侮辱」行為があったとして、在モスクワ日本大使館の井出敬二公使を外務省に呼んで抗議し、日本政府に捜査を行い、責任者を処罰するよう求めたと発表した。
 また、ラブロフ露外相はタス通信に対し、この問題が「(10日からの)前原外相のロシア訪問に影響しない」と述べる一方、責任者の訴追を求めた。
 ロシアは、菅首相が7日メドベージェフ大統領の北方領土の国後訪問について「許し難い暴挙」と発言したことを非難する声明を発表している。
(2011年2月9日12時04分 読売新聞)


官房長官「事実関係を確認中」 ロシア国旗に「侮辱行為」で
枝野幸男官房長官は9日午前の記者会見で、東京都内の在日ロシア大使館前で右翼団体メンバーがロシア国旗を侮辱した行為をしたとされることについて「ロシア政府から日本政府に(捜査の)申し入れはあった。現在事実関係を確認中だ」と述べた。
(日本経済新聞 2011/2/9/12:17)


 事実関係については、時間がそのうち解決してくれることだと思いますが、大事なのは、ロシア国内で、この国旗問題がどのような反応をもたらすかでしょう。実際に、ロシア側の報道としては、国旗が侮辱されたのはもう事実として伝えられているので、それを覆すのはまた労が必要でしょう。
 今回の国旗問題にて大きな衝撃であるのは、「日本人の手によって」侮辱行為が行われたことでしょう。昨日引用した記事に、女性スパイのアンナ・チャップマン氏のコメントが掲載されていましたので、再び抜粋します。

 この若き親衛隊のリーダーの1人で、「美しすぎるスパイ」として知られるアンナ・チャップマンさんは、「日本人は道徳深く、ほかの国民に対しても高い敬意を持って接する国民だと理解しています。だから、ロシアの国旗を毀損したり侮辱したりする行為に参加しないと信じている」とコメントしています。


 ロシア側からすれば、「あの」日本でこのような過激な行動がとられたことが驚きなのです。そして、同時に怒りを買ってしまったことが十分に予想されます。学校でも、ロシア人の先生に、

「今回のことは、残念だった。なぜここまで酷くやる必要があったのだろう……理解できない」

と言われたわけですが、一般市民にとってでさえ、衝撃だったことを考えると、ロシアの右翼の人が今どのような感情を日本に抱いているかは、容易に想像がつきます。

 日本の右翼団体が過激なのと同様に、ロシアの右翼団体、民族主義者も過激です。今回のような、ロシアへの侮辱行為が問題になったり、日露関係の緊迫度が増してしまえば、日本人までも、いずれ彼らの「標的」になることが、少なからず推測できます。
 
 かといって、もしも侮辱行為の「犯人」がいるとして、彼をロシア側に差し出すほど、甘い話ではないでしょう。もっとも、日本には「外国国章損壊罪」という法律があって、処罰の対象となるので、それはラブロフ外相も言及しています。ですので、何らかの形で実行犯は特定される可能性はあるでしょう。

 ただ、日露関係として大きく見たときに、今回の騒動は単なるワンシーンに過ぎず、今後もギスギスした状況が続くでしょう。う〜ん、詳しい言及は今のところは避けたいと思います。

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2011年02月08日

「北方領土の日」にて―ロシアの国旗は踏みにじられたのか?

 2月7日が「北方領土の日」ということで、昨年に引き続き北方領土関連の話題がマスコミに挙がっています。それは、ロシアでも同じで、それに関する報道は多くなされています。
 そのこともあってか、授業でまたしても、その話題が立ち上がりました。

 日本側が、ロシア側を非難する声明を出したり、大規模な抗議の集会が開かれたことなど、どのような動きが起こっているかを話していたところ、先生が

「今朝のラジオで、東京のロシア大使館の前で、ロシアの国旗が踏みつけられて、侮辱された、ということを聞いたよ」

と言うのを聞いて驚きました。まさか、ロシアに対してまでもそのような過激な態度を取るようになったのかと、聞いたときには本当に衝撃でした。僕が最後に日本の記事を確認したところ、そのような内容はなかったので、不思議に思ったまま、授業を後にしました。

 帰宅して、早速また記事を調べていたところ、東京のロシア大使館に、銃弾が送付されたことが大きなニュースとなっていました。しかしながら、国旗を踏みにじったという記述はなかなか見つからず、もっと詳しく調べたところ、下の記事を見つけるので精一杯でした。

「ロシア国旗を毀損した」日本大使館前でも抗議(テレビ朝日02/08 05:59)
 モスクワの日本大使館前には7日、与党「統一ロシア」の青年組織=若き親衛隊のメンバーが集まり、日本の右翼団体が東京のロシア大使館前でロシアの国旗を毀損したとして抗議しました。
 この若き親衛隊のリーダーの1人で、「美しすぎるスパイ」として知られるアンナ・チャップマンさんは、「日本人は道徳深く、ほかの国民に対しても高い敬意を持って接する国民だと理解しています。だから、ロシアの国旗を毀損したり侮辱したりする行為に参加しないと信じている」とコメントしています。


 おかしい、と思ってロシアのマスコミに当たってみました。そしたらば、それに該当する記事が複数出てきました。ある記事は、日本の右翼団体の写真つきで記事が載っていました。今回は、日本語でのサイトもある『ロシアの声』の記事を引用します。

「北方領土の日」の過激な行動・発言にロシアは憤りを禁じえない
 7日は、日本では所謂「北方領土」の日だったが、今年は特に過激な雰囲気で、「領土返還」を求めるデモ参加者らは、ロシア国旗を侮辱した。又日本政府の対応も、やはり過激で、菅首相などはメドヴェージェフ大統領の南クリール訪問について「許しがたい暴挙」とまで呼んだ
 こうした行動や発言に対するロシア側の反応は、当然厳しいものとなり、ラヴロフ外相はTVで次のように述べた―

 「菅首相の発言は、明らかに外交的なものではない。おそらく日本指導部は、(東京のロシア大使館前で)絶対に受け入れられない形の行動を示した非政府組織に遅れを取るまいと決めたのだろう。」

 また菅首相の発言についてロシア科学アカデミー極東研究所のヴィクトル・パヴリャテンコ主任研究員は、次のようにコメントしている―

 「何よりも悲しく残念なのは、首相が一国の長として持つべき初歩的な外交的技量を持っておられないことだ。つい最近まで政権の座にあった自由民主党の指導者達は、そうした抗議をするためにもっと用意ができていた。日本は、前の指導部が持っていたようなロシアとの対話におけるテンポと立場を失ってしまった。それゆえ、現指導部にとって唯一の突破口は、強硬な態度を示すことだったのだろう。まして、国内政治上の諸問題があるからなおさらだ。今、内閣の足場は、かなりぐらついており、野党は国会解散を求め、至る所で『菅内閣はいつまで持つか』といった予測が囁かれている。」

 今回、デモ隊が大使館前でしたロシア国旗を引きずるといった行為も、ロシアでは大きなショックを与えた。これについて、極東研究所のセルゲイ・ルズャーニン副所長は、以下のように述べた―

  「大使館前でのああした行為は、一部の過激な人達による狼藉として冷たく笑って済ませるレベルを越えている。日本政府は、ああした事が起こるだろうという事について、間接的に、あるいは恐らく直接的に、よく分かっていただろう。反ロシア・ヒステリーを煽る日本の過激派グループに対する予算を日本政府は増やすつもりだとのデータもある。あのような行為については、残念としか言いようがなく、憤りを感じる。」

 なおプリホチコ大統領補佐官は「クリールの島々はロシアの主権下にある我が領土であり、この問題が見直されることはあり得ない。ロシア大統領は、国内のあちこちを訪問し、国民にとって焦眉の課題解決にあたっている。その事について、何人の許しも得る必要など少しもない」と言明している。 


 記事の言及は、さほど具体的ではないけれども、そのような侮辱行動が起こされたことは明記されています。そして、その右翼団体の態度が、またロシア側の怒りを買っています。

「若き親衛隊」 日本大使館前で抗議行動 青年運動体「統一ロシアの若き親衛隊」の活動家達が、モスクワの日本大使館前で、抗議行動を行っている。
 彼らは、日本側に対し、過激主義グループがロシア国旗をひどく侮辱した件を謝罪するよう求めている。7日、日本で言う「北方領土の日」、日本の過激派グループは、東京の日本大使館近くで、引き裂き落書きのされたロシア国旗を引きずりながら行進した。
 抗議行動はモスクワ時間で22時まで行われ、8日も続けられる予定。


 論点が少しぶれてしまいそうなので、絞ります。一番気になるのは、東京のロシア大使館前で、ロシアの国旗が引きずられて侮辱されたのかどうかということと、実際にそのことが起こっていたのなら、なぜ日本のマスコミが、はっきりと報道しないのか、ということ。

 十分に想定できる状況として、昨年、尖閣諸島の問題に端を発した日中関係の激化のときです。あの時は、今回の状況よりもはるかに大規模なデモが引き起こされましたが、日本のマスコミは、声高ではありませんでした。はたまた、ロシア側の過剰反応なのか……。

 ここは、安易な発想や決断は避けるべきだと思います。僕がここで、問題として取り上げたいのは、やはりマスコミの体制であり、それと国家の関わりです。一部では、官製報道との見方もされていますし。政治的な日露関係のうちに、このような事実の虚実および是非が埋まってしまい、ないがしろにならないように、したたかに物事を判断する必要があると思います。

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2011年02月05日

「日本人っていった誰?」「○○だろw」

 日本人といって思いつくのは誰?、という問いに外国人は何と答えるかは、日本人であれば少なからず気になるものです。モスクワであれば、それこそ最近であれば、本田選手を言うのでしょうが、それでも最近です。知らない人も、もちろんまだいるわけです。

 もちろん、正確なアンケート結果があるわけはありませんが、これまで僕が、日本人として話題にのぼった人を挙げていきましょう。
 まず、定番の文学者。
 これまで名前を挙げられたのは、夏目漱石でも森鴎外でもなく、谷崎潤一郎が一番多いでしょうか。その次には、安倍公房あたりですかね……。それから、芥川龍之介、川端康成、三島由紀夫の名は耳にしたことがあります。そして、忘れてはならないのは、村上春樹。実際に、ロシア人の口から聞いたことのある人物名としては、このくらいであって、不思議と重複しています。

 
 ある日、寮の地下にあるカフェにいたときに、アジア系のロシア人の集団が、横の席に大きく陣取っていました。カフェには、大きなモニターがあって、ファッション系の番組が映し出されていました。画面中にとある日本人が出てきたときに、その集団のロシア人がみな、その日本人の名前を連呼し始めたので、たいへんに驚きました。
 中田英寿、です。(ちなみに、カルバン・クラインの下着モデルとしての出演でした)
 正直、ロシア人にまで知られているとは思いもよりませんでした。本当に、さっきまでテレビに無関心だった横のロシア人たちが、突然食いついていたので、一層驚いたわけでした。

 そういえば、日本人といえば、三島由紀夫と中田英寿くらいしか知らないと言ったロシア人もいました。


 と、まったくの体験談となってしまいましたが、いまひとつ興味深いものだったので、紹介いたしました。

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2011年01月29日

「日本の皇帝の名前は何て言うの?」

 昨日のロシア人の友人との会話。日本人からしたらトンチンカンな質問ばかりですが、ある意味、これが世界という世間から見た日本なのかもしれません。半分冗談のようにしてご覧になってください。

――皇帝の話になったとき……
「日本にも皇帝はいるよね?」
「いるよ。日本では“テンノウ”というけれどね。」
「どこに住んでいるの?」
「東京の中心だよ。」
「中には入れないないよね?」
「まあ、中は無理だろうね。でも周りに大きな堀があって、そのあたりを歩くことはできるけどね」

「彼に手紙とか書けるかなあ……」
「書いて送ったとしても、本人が読むかどうか分からないね。」
「そりゃ残念。そういえば、インペラートル(天皇)の名前は何て言うの?」
「今の天皇はね……、確か、アキヒトというよ。」
「何で日本人なのに、日本の皇帝の名前をはっきり覚えてないのよ?」
「いやあ、普段そういう呼び方をしないから……。日本では、基本的には『〜天皇』というような言い方をしてきたから。だいたいそこには時代の名前が入るんだけど。」
「彼に苗字はないの?」
「ないよ。」
「何で?」
「……※」
「パスポートとか苗字がなくて大丈夫なのかしらね……」

「まあ、いいわ。ア・キ・ヒ・トね。Facebookとかないかしら?」
「(爆)いや、ないでしょww」
「何で?メドベージェフはtwitterがあるじゃないの。」
「それとは問題が違うよ。日本でも政治家はそういうのを持っているけれど、天皇はそういう感じの人ではないんだよ。」
「彼は政治家ではないの?」
「あっ、一番大事なことだった。天皇は政治に参加してはいけないんだよ。」
「彼は何をしているの?」
「ん〜、海外に行って、大使のような役回りをするし、国家の式に出席して、賞の授与とかをするかな〜。もちろん、これだけではないんだけど。」
「へえ〜、変わっているのね。」
「まあ、特殊といえば、特殊だよね。」

 他にも、現代のサムライはいないのか、とかどうすればニンジャになれるのか、など、もちろん冗談半分なのだろうけれど、聞かれました。日本人からすれば、天皇の話も含め、まずそういう発想をしないので、逆に新鮮でした。笑いながら会話をしていましたが、これも一つの日本への見方だと思って、心では真摯に感じていたしだいでした。

※参照→皇室の姓氏

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2010年12月21日

歌のような言語

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※これが僕がよく食べているロシア料理(?)ジャガイモと豚肉/ボルシチ/きのこグラタン

 僕自身、ロシア語という言語は、聞いていてとても綺麗だなと思うことがたびたびあるのですが、ロシア人からしたときに、日本語という言葉も、きれいに聞こえるそうです。

 日本に興味のあるロシア人の友だちと話しているときのこと。彼が、日本のドラマや女優について熱弁するものから派生して、「日本語は歌のようだ」といって、日本語はきれいだと言っていました。彼だけに限らず、日本語を勉強しているロシア人の中に、日本語はきれいだと言って、うらやましがる人は少なくありません。
 そんなことないよ〜と言って、ロシア語もきれいじゃないか、と返すのですが、ロシア語は汚いとか、言い出す始末。逆に僕からしてみれば、日本語が歌のようだという感想は、とても斬新なものに思えます。
 まあ、日本語がきれいだというのは、もっぱら日本語に興味があって、勉強している人たちだけの意見かと思っていたのですが、どうやらそうではないみたいです。

 学校での先生は、もう60を過ぎた年配の方で、当然日本語なんてまったく知りません。ただ、日本人の生徒が母国語で何かを話しているという状況はつかめるようで、この前、「日本語は何て言語だ。歌みたいじゃないの。」と言ったときには、驚きました。

 普通なら、自国の言語について考えるという機会はなかなかありませんが、こうまで言われると少しは考えこんでしまいます。しかし、母国語を客観的にとらえるというのは、どうも難しいものです。なかなか「歌のよう」という感覚を得られません。
 それと同じように、ロシア人のほうも、ロシア語はきれいだよね、と言ってもなかなかピンと来ないのかもしれません。

 こちらに来て、ロシアについて考えることと同じくらいに、母国、日本について考えることも多いです。これは、日本にいるときよりも、「意識して」日本を視ているからに他ならないと思います。今回の主題も、その一部でした。

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