【ロシア】200日の漂流―モスクワ大学留学記2010-2011

2010年03月06日

クラスター

 clusterという英単語は、ぶどうなどの果物の房、かたまりのことを意味する。つまりは、物とか人など、何かが集まっている状況を指す。そして、business clusterという用語がある。これは、ある特定の地域に、特定の産業が集中していることである。アメリカにおけるハリウッドと映画産業の関係を思い浮かべると、すぐに理解できるかと思う。

 このような産業のあり方を、もっと進めてゆこうとする動きがロシアにはある。現在、どこの地域に、どれだけの費用が必要かの調査が進められており、政府予算からどれだけを割り当てるなどが検討されている。ロシアでは、クラスターは地方権力に長らく推し進められてきたけれども、今後は、中央政府も深く乗り出してゆくという。政府役員は、クラスターの形成は、国全体の近代化につながり、また決して一つの特定の企業のみが成長するという訳ではなく、産業全体が伸びると述べている。

 現在ロシアには、10箇所の発達したクラスターがあり、まだ発展しきっていないクラスターが100箇所ほどあるという。
 よく発展しているクラスターの一つにKalugaという地域がある。この地域では、自動車産業が集中している。2006年に、フォルクスワーゲンが参入し、6ヶ月かけて、設備などの準備が整えられ、その後、フォルクスワーゲンに続いて、プジョーや三菱など海外の自動車メーカーが多数参入している。そして、結果的にロシア有数の自動車産業地区までになった。
 自動車で成功しているKalugaだが、決して自動車産業だけに固執することは無いらしい。現在、Kalugaの地方政府は、バイオテクノロジーと薬科学のクラスターも形成してゆく方針を打ち出している。
 何もKalugaに限ったことではなく、今後クラスターを形成してゆく地域では、複数の種類のクラスターを内在させようとしている。1種類のみだと層が薄いということであろう。また、クラスターの分野としてはITなどの先端科学が重視されるといわれている。また、産業の規模は問わず、むしろ中小規模の産業は積極的に支援してゆく方針だそうだ。そして、各地域に、その特化した産業を専門的に扱う大学や研究所なども設置し、教育の面も効率的に進めてゆくという。

 勿論、財政的な問題や、人口減少社会における労働力の確保の困難さなど、直面する問題は決して少なくは無い。ただ、ロシアが大規模な国の構想を練っており、実行に移しつつあるということは、事実としてある。単純な発想かもしれないが、国土面積を考えると、巨大なクラスターが、多数存在するということになる。壮大な構想だなと思う。
 かつて、ソ連で行われていたような、専門に特化した教育などが思い浮かばされた。ロシア連邦という新体制になって、まだ20年弱「しか」経っていない。その国が数十年と続いてゆくことを考えると、このような大規模な計画が推進されることに、何ら不思議は無い。


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posted by Itta at 21:52| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月05日

自動車産業

 アフトバス(AvtoVAZ)というロシア自動車最大手会社がある。この会社は、昨年ごろから、経営がうまく立ち回らず、政府はこれにかなり肩入れする形で、援助していた。というのも、大手産業であるため、下手に大々的なリストラをしてしまうと、かなりの数の失業者を生む危険性があるからだ。

 そんな中、4日木曜日、政府は、(自動車産業全体に対して)以前予定していた1.8兆ルーブルの出資額から1.2兆ルーブルまで切り下げるとした。その代わりに、新車への買い替えや、その際のリサイクルを扱う、取引会社、ディーラーに対して支援を行うという方向に転換した。
 現在、ロシアには、10年以上同じ車を乗り続けている人が1400万人いるという。これらの人に新車に乗り換えてもらえば、それなりの利益が期待できるということである。そのために、サービス券を発行するなど、消費を促すということだ。
けれども、取引会社の多くは、まだそのような計画に参加するには、まだ準備が足りないといわれている。いかにして、多くの取引会社をこのプログラムで回らせるかが、これからの問題である。

 アフトバスについては、親会社のほうに出資する形で、引き続き支援は行ってゆくと、政府は伝えている。以前は、海外のメーカー(フランスのルノーや日本の日産)を扱うという増産対策を打ち出していた。だが、それでも回復は臨めず、今回の転換に至ったということだ。会社に直接的に出資するだけではなく、消費に関連するあらゆるものに可能性を見出そうとする試行錯誤が感じられる。


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posted by Itta at 10:49| Comment(2) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月03日

サウスストリームの経過

 サウスストリームという、黒海を通過するガスパイプライン構想がある。これは、ロシアのガスプロムと、イタリアのEINが主な事業社として進められているプロジェクトである。操業開始予定は2013年で、陸上部分は、中欧、南欧向けであり、ウクライナを迂回する経路となるようだ。実際のプロジェクト推進は、2007年ごろから始められている。
 このプロジェクトは、パイプの通過国が多いため、その各国からの合意を得るのが、大きな課題として当初から挙げられていた。これまでに、ブルガリア、セルビア、ハンガリー、ギリシャ、スロベニアとの合意に、ロシアは成功している。そして、先日、2日火曜日に、クロアチアとの合意が成立した。クロアチアは、2007年のときこそ、サウスストリームへの参入を断っていたが、今回になって合意に至った。また、クロアチアは現行のガス供給契約が来年には切れてしまうため、これを機にガスプロムからの購入に切り替えるとの姿勢を示した。同意においては、ガスプロムとクロアチアの現地操作会社は、五分五分で行うとのことも伝えられている。

 このサウスストリームは、先ほど述べたように、ウクライナを迂回する。これは、恐らくは、2006年、2009年に相次いで起こった「ガス戦争」のことを受けていると思う。あのときは、ウクライナがガス栓を閉じてしまい、ヨーロッパ各国が、かなり苦しんだという。実際、サウスストリームは、中欧、南欧への「安定」した供給が目的である。これまでは、ロシアとヨーロッパとのパイプ間には、CIS諸国が存在しており、上記のように、ロシアとCIS諸国の事情は、ヨーロッパに大きく影響していた。もしも、サウスストリームの開発が順調に進めば、そのような「巻き込まれ」が防がれるのではないだろうか。
 

 ガスパイプについては、私自身、かなり勉強不足なところがあり、本当なら、ナブッコストリームというロシアとイランを迂回するパイプラインとの関係性を含めながら述べるべきである。このガスパイプの話題については、後日また、まとまったレポートを書いていこうと思う。


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posted by Itta at 14:11| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月28日

ロシアにおける不動産投資

 コンサルタントCB Richard Ellisの報告によると、2009年付けの、ロシアの不動産投資量は、かなりの減少を見せたという。具体的には、2008年の投資額、34億ユーロに対し、2009年は7億9千万ユーロ、つまり前年比77%の減少である。理由としては、主に海外からの投資家がロシアから撤退したことが大きいとされる。去年、海外投資家によって行われた取引は、わずか6件だったという。勿論、国内のおける投資の減退も理由の一つである。

 こういった背景は、世界的不況の影響が大きく、海外の投資家たちが、それぞれの国内での投資に専念し、海外投資を控えたということが挙げられる。ロシアでは、主に西欧からの投資がもともと多い。けれども、投資家たちは、去年、ロシアではなく西欧市場にお金を落としていった。このことは、また、ロシア自体が深刻な不況に見舞われて、市場におけるイメージがかなり悪かったことも大いに影響している。つまり、ロシアに投資することは、リスクが高いと見なされていたわけである。

 去年行われた投資のほとんどは、前もって決まっていた投資、もしくは強制的な投資だったという。更に、市場において、新しいプロジェクトや、新しいマネーも無かったそうだ。また、一番規模の大きかった投資は、Horus Capitalという開発業者による投資で、2億1400万ユーロだった。


 そして、重要な今後の見通しだが、一応は回復すると見られている。実際に、景気そのものの回復が見込まれているだけに、必然的ではあるかもしれない。実際に、海外からの投資は、国内の投資を追い越しているという。けれども、飛躍的な回復はなかなか見込めず、回復は生ぬるいと予測されている。大きな理由としては、ローリスクで、短期的にリターンが見込めるようなしっかりとしたプロジェクトが、まだ存在せず、それでは、海外の投資家たちも、容易に投資に踏み切ることが出来ないことである。


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posted by Itta at 13:43| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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