【ロシア】200日の漂流―モスクワ大学留学記2010-2011

2011年02月08日

「北方領土の日」にて―ロシアの国旗は踏みにじられたのか?

 2月7日が「北方領土の日」ということで、昨年に引き続き北方領土関連の話題がマスコミに挙がっています。それは、ロシアでも同じで、それに関する報道は多くなされています。
 そのこともあってか、授業でまたしても、その話題が立ち上がりました。

 日本側が、ロシア側を非難する声明を出したり、大規模な抗議の集会が開かれたことなど、どのような動きが起こっているかを話していたところ、先生が

「今朝のラジオで、東京のロシア大使館の前で、ロシアの国旗が踏みつけられて、侮辱された、ということを聞いたよ」

と言うのを聞いて驚きました。まさか、ロシアに対してまでもそのような過激な態度を取るようになったのかと、聞いたときには本当に衝撃でした。僕が最後に日本の記事を確認したところ、そのような内容はなかったので、不思議に思ったまま、授業を後にしました。

 帰宅して、早速また記事を調べていたところ、東京のロシア大使館に、銃弾が送付されたことが大きなニュースとなっていました。しかしながら、国旗を踏みにじったという記述はなかなか見つからず、もっと詳しく調べたところ、下の記事を見つけるので精一杯でした。

「ロシア国旗を毀損した」日本大使館前でも抗議(テレビ朝日02/08 05:59)
 モスクワの日本大使館前には7日、与党「統一ロシア」の青年組織=若き親衛隊のメンバーが集まり、日本の右翼団体が東京のロシア大使館前でロシアの国旗を毀損したとして抗議しました。
 この若き親衛隊のリーダーの1人で、「美しすぎるスパイ」として知られるアンナ・チャップマンさんは、「日本人は道徳深く、ほかの国民に対しても高い敬意を持って接する国民だと理解しています。だから、ロシアの国旗を毀損したり侮辱したりする行為に参加しないと信じている」とコメントしています。


 おかしい、と思ってロシアのマスコミに当たってみました。そしたらば、それに該当する記事が複数出てきました。ある記事は、日本の右翼団体の写真つきで記事が載っていました。今回は、日本語でのサイトもある『ロシアの声』の記事を引用します。

「北方領土の日」の過激な行動・発言にロシアは憤りを禁じえない
 7日は、日本では所謂「北方領土」の日だったが、今年は特に過激な雰囲気で、「領土返還」を求めるデモ参加者らは、ロシア国旗を侮辱した。又日本政府の対応も、やはり過激で、菅首相などはメドヴェージェフ大統領の南クリール訪問について「許しがたい暴挙」とまで呼んだ
 こうした行動や発言に対するロシア側の反応は、当然厳しいものとなり、ラヴロフ外相はTVで次のように述べた―

 「菅首相の発言は、明らかに外交的なものではない。おそらく日本指導部は、(東京のロシア大使館前で)絶対に受け入れられない形の行動を示した非政府組織に遅れを取るまいと決めたのだろう。」

 また菅首相の発言についてロシア科学アカデミー極東研究所のヴィクトル・パヴリャテンコ主任研究員は、次のようにコメントしている―

 「何よりも悲しく残念なのは、首相が一国の長として持つべき初歩的な外交的技量を持っておられないことだ。つい最近まで政権の座にあった自由民主党の指導者達は、そうした抗議をするためにもっと用意ができていた。日本は、前の指導部が持っていたようなロシアとの対話におけるテンポと立場を失ってしまった。それゆえ、現指導部にとって唯一の突破口は、強硬な態度を示すことだったのだろう。まして、国内政治上の諸問題があるからなおさらだ。今、内閣の足場は、かなりぐらついており、野党は国会解散を求め、至る所で『菅内閣はいつまで持つか』といった予測が囁かれている。」

 今回、デモ隊が大使館前でしたロシア国旗を引きずるといった行為も、ロシアでは大きなショックを与えた。これについて、極東研究所のセルゲイ・ルズャーニン副所長は、以下のように述べた―

  「大使館前でのああした行為は、一部の過激な人達による狼藉として冷たく笑って済ませるレベルを越えている。日本政府は、ああした事が起こるだろうという事について、間接的に、あるいは恐らく直接的に、よく分かっていただろう。反ロシア・ヒステリーを煽る日本の過激派グループに対する予算を日本政府は増やすつもりだとのデータもある。あのような行為については、残念としか言いようがなく、憤りを感じる。」

 なおプリホチコ大統領補佐官は「クリールの島々はロシアの主権下にある我が領土であり、この問題が見直されることはあり得ない。ロシア大統領は、国内のあちこちを訪問し、国民にとって焦眉の課題解決にあたっている。その事について、何人の許しも得る必要など少しもない」と言明している。 


 記事の言及は、さほど具体的ではないけれども、そのような侮辱行動が起こされたことは明記されています。そして、その右翼団体の態度が、またロシア側の怒りを買っています。

「若き親衛隊」 日本大使館前で抗議行動 青年運動体「統一ロシアの若き親衛隊」の活動家達が、モスクワの日本大使館前で、抗議行動を行っている。
 彼らは、日本側に対し、過激主義グループがロシア国旗をひどく侮辱した件を謝罪するよう求めている。7日、日本で言う「北方領土の日」、日本の過激派グループは、東京の日本大使館近くで、引き裂き落書きのされたロシア国旗を引きずりながら行進した。
 抗議行動はモスクワ時間で22時まで行われ、8日も続けられる予定。


 論点が少しぶれてしまいそうなので、絞ります。一番気になるのは、東京のロシア大使館前で、ロシアの国旗が引きずられて侮辱されたのかどうかということと、実際にそのことが起こっていたのなら、なぜ日本のマスコミが、はっきりと報道しないのか、ということ。

 十分に想定できる状況として、昨年、尖閣諸島の問題に端を発した日中関係の激化のときです。あの時は、今回の状況よりもはるかに大規模なデモが引き起こされましたが、日本のマスコミは、声高ではありませんでした。はたまた、ロシア側の過剰反応なのか……。

 ここは、安易な発想や決断は避けるべきだと思います。僕がここで、問題として取り上げたいのは、やはりマスコミの体制であり、それと国家の関わりです。一部では、官製報道との見方もされていますし。政治的な日露関係のうちに、このような事実の虚実および是非が埋まってしまい、ないがしろにならないように、したたかに物事を判断する必要があると思います。

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