宅急便を日本へ送ろうと思い、モスクワの中央郵便局へ向かいました。こうやって、こちらから物を送るのは初めてでしたので、何が何だかほとんど分からない状況で、足を運びました。
まず駅の出口を出て、郵便局を探します。宅急便用の箱を用意する必要があるので、まずはそれが最初です。箱は、受付の場所と異なるところで売っていると聞いていたので、そちらへ向かい難なく箱を手に入れることができました。
そして、箱を抱えたまま、メインの受付所へ向かって案内の看板を眺めていると、警備員のおじいさんが、「どうしたんだい?」とやさしく聞いてくれました。これをEMSで発送したい旨を伝えると、それはあっちだよ、と気さくに案内してくれました。
EMSの受付のところで並んでいると、後から来たおじさんに声を掛けられました。突然「免許状がいるんじゃないか」と良く分からないことを言われ、何も理解しないまま数字の書かれたメモ書きを手渡されます。まったく状況がつかめず、相づちだけを打っていると、おじさんが脇に抱えたビンを開け、突然ビールを飲み始める始末。「君も一口どうだい?」と薦められたのですが、もちろん、いやけっこうですよ、と苦笑いで返すしか他ありませんでした。
自分の番が回ってきたときに、EMSは別の紙に住所を書かないといけない、と言われたので、いったん列を離れ、その作業に取り掛かります。住所を書き終え、また列に加わって順番を待ちます。すると、後ろから今度はおばさんに、「あなたが列の最後?」と聞かれたので、そうだと答えると、「私、あなたの後ろに並ぶから、この場所をとって置いてね」と言われました。これは、まあモスクワではよくあることで、前に並んでいる人に、自分の順番を見張ってもらうということです。
しばらくすると、その「見張っている」順番の後ろに新しい人が並び始めました。すると、おばさんがまたやって来て、「後ろの人に、私も並んでいるってこと言った?」と確認されました。ここも適当にふんふん、と相づちを打って何とかやり過ごしました。
改めて自分の順番が回ってきました。担当のおばさんが、箱の中を確認すると、こんなに箱がスカスカじゃ駄目なのよ、と言って新聞を詰めます。住所の確認などをされて、最終的には何とか手続きを終えられました。
ただ、案外すんなりといったな、という感想が残ります。というのは、今回僕が発送したのは、マトリョーシカであって、これは数量制限がある、などの噂を聞いておりました。確かに、例えばマトリョーシカの中に薬物でも入れて、密輸ということも考えられます。ですから、中なども厳重に見られるのかもしれない、と内心覚悟はしておりました。ですので、おばさんがひと目だけ見て、まったく疑うことなく箱詰めを始めたので、驚いた次第でした。もっとも、発送の途中で、中を開けられることも十分考えられるので、まったく警戒が無い、とは言い切れません。
単に、ものを発送しただけでしたが、ビールのおじさんに絡まれたり、おばさんの世話をやいてみたりと、いろいろとある意味ロシアらしい経験が盛りだくさんでした。また、郵便局の人たちがみな優しく対応してくれたのは、嬉しかったですし、とてもありがたく感じました。
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