それは、空港からモスクワへと帰る列車の中のことでした。二人がけの座席に一人で腰かけていたところ、空いていたもう一つの席に、アジア系の青年が座ってきたのでした。
しばらくもしないうちに、
「○×△○□〜」とおそらく中国語であろう言葉で話しかけられました。私はいぶかしそうな表情で、とっさにロシア語で「ごめんなさい、よく分かりません」と返しました。すると、相手は驚いたように「どこから来たんだい?」と流暢なロシア語で質問してきたのでした。「日本から……」と答えてから、彼との会話がはじまりました。
中国から来ているという彼は、もう3年もロシアの大学に在籍しているとのこと。今、どんな勉強をしているのか、やどのようにロシア語を勉強しているのか、などの話で、同じ留学生ということもあってわりあい会話は弾んだのでした。
それから、漢字を見れば、中国語もそれなりに理解できるということも分かり、言語の話でも盛り上がったのでした。同じ表記なのに、読み方の違う日本語にたいへん興味を持っているようでした。
かれこれ、30分ほど彼と列車の中で話し込んでいました。それにしても、きれいなロシア語だったことを覚えています。外国人独特の、母国語なまりのロシア語ではなく、それはロシア人っぽい口調でした。それに、非常に紳士的な態度に思わず感服してしまいました。
3年かあ……と思いながら、自分の留学期間である7ヶ月の短さを改めて思い知らされることになったのでした。
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