【ロシア】200日の漂流―モスクワ大学留学記2010-2011

2010年11月12日

デリケートなる問題

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 僕のクラスには、日本人のほかに、中国、韓国からの生徒がいる。これらの生徒に加えて、先生は当然ロシア人である。もう2ヶ月以上も一緒に勉強していることから、ずいぶんと仲もよくなり、彼らがとても良い人たちだということも実感している。

 日本、中国、韓国、そしてロシア。よくよく考えなくとも、すこし昨今の情勢を考慮すれば、これらの国の外交上の「確執」が容易に思い浮かぶ。いわずもがな、尖閣諸島、竹島、北方領土をめぐる領土問題のことである。
 
 そのようなことを突拍子もなく考えるようになったのは、ある日の授業のことだった。最近のニュースについて話していたときに、先生が、そういえば、メドベージェフの極東訪問が問題になっていたわね、という話題を切り出した。何も、先生に悪意があるわけでもなく、むしろ大事なことを言うときの口調だった。「ロシアでは、メドベージェフが自国の領土を訪問したということになっているけれど、どう思いますか?」矢継ぎ早に聞いてくる。僕をはじめとする日本人は、沈黙するしかなかった。結局、「政治の話は、興味があって重要なことだけれども、話すとなると難しいもの」ということで落ち着いた。
 
 僕は、この話のさい、どきどきして仕方がなかった。もしも韓国や中国との問題に飛び火してしまったらどうしよう、などなど。幸いにも、政治の話はそのままうやむやになり、何事も大丈夫だったのだが、妙に後味が悪い。このような「デリケート」なことに、実は何度か遭遇している。
たとえば、一度、先生がノーベル平和賞のことについて、中国の生徒に質問していたことがあった。このときの口調も真剣なものだったことを覚えている。それから、ロシアにある「〜自治区」出身の人は、自身の素性をあまり大っぴらにしないということも聞いた。意外にも、自分の身の回りには、気をつけねばならないことがたくさん潜んでいることが分かる。

 すこし話を戻します。
 果たして、僕は韓国、中国、ロシアの人々に、領土問題のことを真っ向から切り出すことが出来るだろうか。今のところ、出来ない。複雑な問題を複雑に扱うだけの語学力がない、という前提もあるけれども、それよりも、普段親しくしている人に対して発言するという気概の問題がずっと大きい。それでも、帰国するまでに、一度は真剣に問うてみたいとは思っている。

 ただ、最近思うのは、いくら国と国の間が微妙な関係だからといって、個人のつながりまでも微妙になるということはない、ということ。やはり、個人と集団、国家という単位では、その性質が異なるということだろうか。これは、日に日に実感していることである。

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posted by Itta at 01:13| Comment(0) | 留学日誌(個人的近況) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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