【ロシア】200日の漂流―モスクワ大学留学記2010-2011

2010年04月10日

キルギスについて

 先日、キルギスで反政府行動が起き、今のところ暫定政府が設立されている。しかし、依然、物議は収まらない。

キルギス:政権崩壊 野党「ロシアが役割」 追放の大統領「信じない」
 【ビシケク大前仁】中央アジア・キルギスの反政府暴動で、「臨時政府」を樹立した野党勢力の指導者の一人テケバエフ氏は8日、「バキエフ大統領の追放にロシアが役割を果たした」と述べた。ロイター通信が報じた。ロシアは関与を否定しているが、他国に先駆けて「臨時政府」を事実上承認しており、議論を呼びそうだ。
 同通信によると、テケバエフ氏は、大統領の追放を「ロシアが喜んでいる」と語り、このため米軍がアフガニスタンへの物資輸送拠点に使っているマナス空軍基地も「米軍の駐留期間が短くなる可能性が高い」と語った。同通信はまた、米露首脳会談のためプラハにいるロシア高官が「キルギスにはロシア軍基地だけがあればよい。バキエフ(大統領)は米軍基地を排除する約束を守らなかった」と語ったと伝えた。
 「臨時政府」首班のオトゥンバエワ元外相も8日、ロシアの民放ラジオ「モスクワのこだま」との電話インタビューで、プーチン首相が支援を約束したと感謝を表明し、協議のため同志のアタムバエフ元首相をモスクワに派遣すると語った。
 一方、追放されたバキエフ大統領は8日、同ラジオの電話インタビューで、政変を「武力による政権奪取」と非難し、辞任を拒否した。また「外国の力なしにこうした作戦を実施することは事実上不可能だ」と述べたが、名指しは避け、「ロシアが自分を見捨てたとは思わない」とも語った。別のロイター通信とのインタビューでは「背後にロシアがいるとは言えないし、信じたくない」と語った。いずれも現在の避難先については「キルギスの南部」とだけ答え、正確な場所は明言しなかった。
 プーチン首相は7日の会見で「ロシアは今回の暴動には一切関係がない」と関与を否定している。 (毎日新聞 2010年4月9日 東京夕刊)


 これに、英BBCの記事を参照したい。
 追放されたバキエフ大統領は、今、彼の出身地であるジャラーラーバードにいるそうだ。具体的な場所は明かされていない。そして、今キルギス、特に首都ビシケクに戻れば、命を狙われると、恐れていると語った。民衆の反感を買ったこと、警察に銃の使用を認めたことの責任を問われるから、と。それでも、まだ大統領職は主張しており、今後の行動についても構想があるという。それは、彼の地盤地方である、南キルギスとビシケクのある北側とを分断するか、ということである。今後の国内紛争を防ぐためにも、国に残ると言っている。更には、暫定政府には法や体制を整えるのは難しいと、批判した。
 一方で、野党指導者オトゥンバエワ元外相代行は、バキエフ大統領に対して、今が国を立ち去る絶好のチャンスだとし、辞職を認めるのなら、安全の保証はする、と述べたそうだ。彼女は、プーチン首相から、暫定政府の認定、及び支援の旨の電話を受けた人物である。
 
 現状からは、しばらく軋轢は続くと見られる。ただ、別の焦点として、ロシアがこの反政府行動に関与したかどうか、ということが挙がっている。現在のところ、否定はされているものの、はっきりと白だと断言することは容易ではない。また、キルギスには対アフガン戦略として、米軍が在留している。これがやっかいなことで、単なる国内問題に収まりそうにない。貿易相手としては、ロシアが最大であるが、実際のODAなどの支援は、アメリカが一位である。(世界的にもアメリカの支援規模は大きいので、とりわけキルギスに肩入れしているとは明言しがたい)
 更に、忘れてはならないことは、キルギスは旧ソ連の諸国で構成されるCIS(独立国家共同体)に加盟しており、また中国、ロシアで進めている上海協力機構の正加盟国である。正加盟国は、中国、ロシアのほかにカザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの4カ国で、これらは一応親露派と言われる。一応、以前からキルギスは親露派だったので、今回のことも、特別ロシアは問題視しなかったのかも知れない。つまり、昨今のグルジアやウクライナとは、事情が異なるのではないか、ということである。
 ただ、CIS諸国は、ロシアにとって重要な外交アクターであるため、いくら親露といえども、楽観視はされないだろう。だから、ロシアの関与というのは、割合現実味がある上、大変興味深い推測だと思う。全面的な関与、という深い関わりはなくとも、ロシアの諜報機関は、キルギスで何か反政府行動が起こるという情報は掴んでいたとは、個人的に考える。
 今後、あらゆる情報や動向が見られるはずなので、しばらくは静観しようと思う。


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posted by Itta at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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