【ロシア】200日の漂流―モスクワ大学留学記2010-2011

2010年04月01日

かつての宗教空白―オウム

 昨日ぐらいから、オウム真理教の犯行を警察が云々という話題が出ていますが、オウムといえば、その海外支部の中で、モスクワが最大規模を誇っていたということが思い出されます。何でも、日本国内よりも信者が多く、その数は35,000人ほどであったといわれています。
 ソ連が崩壊して、国民の中に宗教空白というような精神的な揺らぎがあり、そこにオウムのみならず、たくさんの新興宗教が進出していきました。その中でも、オウムが広まったということでしょうか。
 先月ぐらいに、辺見庸の『もの食う人びと』(1994年)という、世界の過酷な食環境を取材してゆくという作品を読みました。その著作中に、「チェロ弾きの少女」というモスクワについての一項があります。自分の娘に、街でチェロを弾かせ、お金を乞うという家族についての話なのですが、実に当時の生活環が表されていると思っています。そして、次のようなことに、少々過去の「リアル」を感じてしまいました。

 
 12月選挙でだれに投票したかタチアナに聞いたら、すかさず答えた。
 「(極右民族主義者の)ジリノフスキーよ。二年後には冷蔵庫を肉でいっぱいにしてみせるって言ってたもの。前はエリツィンが好きだったけど、大統領としてまったくだめね」
 (中略)
 「ロシア人の偉大さを、もう一度思い出さなきゃ」
 タチアナはだれにともなく言うのだ。
 (中略)
 居間にオウム真理教のパンフレットがあった。
 「ショウコウ・アサハラには興味あるわ」
 黒パンをくわえたタチアナがジリノフスキーを褒めた時の口調で言った。
 (『もの食う人びと』より抜粋)


 タチアナとは、少女の母親です。このような、ささいな生活にオウムが入り込んでいることに、モスクワが最大規模を誇ったことが妙に納得されました。
 のちには、シガチョフ事件などが起こりました。すっかり、過去のものとなりつつありますが、日本とロシアには、このような面での関係があったということは留意すべきだと思います。


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posted by Itta at 12:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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