【ロシア】200日の漂流―モスクワ大学留学記2010-2011

2010年02月06日

ロシア語の「音楽性」

 今回はロシア語の持つ「音楽性」について話したいと思います。ロシア語を学びながら、常々思っているのですが、ロシア語は韻を常に踏み、流れるように発音されるなあという印象を持ちます。(実際、私は日本語と英語、ロシア語しか学んでいないので、ロシア語に限ったことではないかもしれません)


 例えば、簡単な言い回しですが、「最も美しい切手」という意味のロシア語は、

Самая красивая марка (サーマ クラッシーバ マール


と表されます。一例だけでは説得力がないかもしれませんが、ロシア語は、全体として男性名詞とか女性名詞に対応する活用の変化が似ているので、このように韻を踏みやすいのです。



 次に、ツルゲーネフの『猟人日記』の“свидвние”という作品から例文を取り上げます。


Я сидел и глядел кругом и слушал.
(ヤー シジェー イ グリャージェ クルーガム イ スルーシャ

Она притихла, подняла голову, вскочила, оглянулась и всплеснула.
(アナ プリチフ パドゥナー ゴーラフ バスカチー アグリャーヌシ イ フスプレスヌー


という例文です。実際の発音を聞くと、流れるように聞こえてきます。平らな文面では分かりづらいですが。



 さて、この『猟人日記』の“свидвние”という作品、二葉亭四迷が『あひゞき』として翻訳していることは有名です。二葉亭は「歐文は唯だ讀むと何でもないが、よく味うてみると、自ら一種の音調があつて。聲を出して讀むと抑揚が整うてゐる。即ち音楽的である。」と述べていて、ここからロシア語の「音楽性」について確認が出来ます。そして、この音楽性を重んじるために、二葉亭は初めての翻訳の際には、その音楽性をも翻訳しようと試みます。
 先の例文2つは、以下のように訳されています。

 「自分は座し、四顧し、そして耳を傾けゐた」
 
 「「アクーリナ」は漸く涙をとゞめ、頭を擡げ、跳り上ツ、四邊(あたり)を視まはし、手を拍た」


現代の感覚で考えると、このような翻訳はたどたどしく感じるかもしれません。しかしながら、当時は言文一致運動の始まりの頃で、二葉亭の影響は多大なものでした。最終的に、二葉亭はこの翻訳は諦めて、改訳を試みたわけですが、二葉亭の姿勢は、ロシア語が日本語とは異なった独特の「音楽性」を持っているということを認識させてくれます。


 ロシア語の一つの特徴をこのように考えたわけですが、もちろんロシア語が綺麗な言語で日本語がそうではない、ということではありません。それぞれの言語が独自の特徴を持っており、それはそれで尊重すべきです。



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posted by Itta at 07:58| Comment(0) | 文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月01日

ウクライナ大統領選から

 ご無沙汰しております。長い間更新を怠っていました。定期的に更新してゆくことの大変さを感じました。毎日のように更新される方は、本当に凄いなと思います。

 私が更新を怠っていた間に、ウクライナの大統領選が行われました。親ヨーロッパ的(=民主化推進派)なユーシチェンコ大統領は落選し、少なくとも彼よりは、親ロシア的な態度を採るであろう、ヤヌコーヴィチ氏、ティモシェンコ首相の二名が決戦投票へと駒を進めました。

 2005年のオレンジ革命で、民主的国家を目指してユーシチェンコ氏が政権を運営をしていった訳ですが、その際にロシアとの軋轢は否めませんでした。実際に、一連のガス戦争など、その関係の悪さを表す出来事は起こりました。
 何もウクライナに限ったことでは無く、多くの旧ソ連地域の国々はロシアに、軍事的にも経済的にも依存しています。特に経済面の依存は大きい。しかし、民主的な政治を求める動きというのは、少なからず存在します。そして、民主化を進めるということは、具体的には、NATO加盟、EU加盟が目標であり、それはある意味「脱ロシア」を図るということです。その動きが露骨になると、昨今のグルジアのような例を見るわけです。民主化したいけれど、ロシアとの関係を切ることはリスクが高いというジレンマがあるのです。

 ウクライナも、民主化の動きを明確に示しましたが、実際の経済制裁などは、かなり辛かったと見えます。
 
 そして、今回の大統領選の結果はロシアへの依存は相変わらず大きいということを、再確認させることになったと思います。

 完全に私の知識だけで勝手に述べましたが、あしからず。


 今後は、しっかりある程度定期的に更新いたします。


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posted by Itta at 12:27| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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