【ロシア】200日の漂流―モスクワ大学留学記2010-2011

2010年02月28日

ロシアにおける不動産投資

 コンサルタントCB Richard Ellisの報告によると、2009年付けの、ロシアの不動産投資量は、かなりの減少を見せたという。具体的には、2008年の投資額、34億ユーロに対し、2009年は7億9千万ユーロ、つまり前年比77%の減少である。理由としては、主に海外からの投資家がロシアから撤退したことが大きいとされる。去年、海外投資家によって行われた取引は、わずか6件だったという。勿論、国内のおける投資の減退も理由の一つである。

 こういった背景は、世界的不況の影響が大きく、海外の投資家たちが、それぞれの国内での投資に専念し、海外投資を控えたということが挙げられる。ロシアでは、主に西欧からの投資がもともと多い。けれども、投資家たちは、去年、ロシアではなく西欧市場にお金を落としていった。このことは、また、ロシア自体が深刻な不況に見舞われて、市場におけるイメージがかなり悪かったことも大いに影響している。つまり、ロシアに投資することは、リスクが高いと見なされていたわけである。

 去年行われた投資のほとんどは、前もって決まっていた投資、もしくは強制的な投資だったという。更に、市場において、新しいプロジェクトや、新しいマネーも無かったそうだ。また、一番規模の大きかった投資は、Horus Capitalという開発業者による投資で、2億1400万ユーロだった。


 そして、重要な今後の見通しだが、一応は回復すると見られている。実際に、景気そのものの回復が見込まれているだけに、必然的ではあるかもしれない。実際に、海外からの投資は、国内の投資を追い越しているという。けれども、飛躍的な回復はなかなか見込めず、回復は生ぬるいと予測されている。大きな理由としては、ローリスクで、短期的にリターンが見込めるようなしっかりとしたプロジェクトが、まだ存在せず、それでは、海外の投資家たちも、容易に投資に踏み切ることが出来ないことである。


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2010年02月27日

ロシアの武器輸出について

 ロシアのCAST( The Center of Analysis of strategies and technologies)の報告によると、ロシアの武器輸出が最高潮になるようだ。過去2年間ほど、ほぼ横ばいだった防衛物輸出額が、2008年の67億2500万ドルから2009年には74億3600万ドルに増加したという。

 また、防衛物輸出の約定は、2009年は400億ドル分であり、これは前年比の70億ドルの増加である。そして、新規契約が150億ドルもつけたという。この増加から、少なくとも5年は安定した武器輸出が出来るという見方がされている。

 実際どのような国と取引をしているのだろうか。ロシアの主な取引相手は、インド、中国、アルジェリア、ベネズエラ、シリア、そしてベトナムが挙げられる。以下、個別に見てゆこう。

 まずインド。2010年の武器輸送予定には、40機のSu-27-30 Flanker familyというが含まれている。そして、16機のMiG-29K と、80機のMi-17V-5というヘリコプターの輸送は、決定的だとされている。また、コードネームT-50という新しい飛行機をロシアとインドの共同で製造されるという。

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 ベネズエラ。この国はアメリカとの仲が決して良いとは言えず、その一方でロシアの南米における新しい友好国として知られている。2009年に、ロシアから武器の輸送の為に22億ドルのローンを組んでいる。現在、92台の、グレードアップしたT-72M1Mという戦車の契約のみが知られている。また、非公式ではあるが、40億ドルをもって、Smerchという航空防衛システムや、複式ロケット、榴弾砲を輸出することが伝えられている。

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 近年、主要な武器購入国になりつつあるのが、ベトナムである。取引額は、40億ドルと見積もられ、内容としては、6艘の636Mという潜水艦や、ロシアの会社を建てるためのインフラ設備などである。また、8機のSu-MK2という飛行機の取引がすでに確定している。

 ロシアの武器輸出は、これで最高潮に達し、これ以上の発展は、よほどの技術開発がなされなければ、見込めないとも言われる。そんな中、先月、ロシアはfifth-generation fighterという飛行機の実験に成功し、アメリカのこの種の飛行機の開発の独占に終止符を打ったそうだ。この成功に、リビアやベトナムが興味を示す可能性があるといわれるが、その実践には、財政、技術、政治などにおける効率化が必要なようだ。それでも、やはりロシアは第二の武器開発国である、という見方が高まるとされる。

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 私は、残念ながら軍事オタクではないので、どの武器が凄いとかは、よく分からない。けれども、このような情報に触れたときに、ロシアの武器に対する勢いというものは、よく感じられた。


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2010年02月26日

ウクライナ大統領就任式

 ウクライナのヤヌコビッチ氏の大統領就任式が25日に行われた。そこで、ヤヌコビッチ氏は、ロシアとEU欧州における均衡外交を宣言した。このことは、多くのメディアで取り上げられている通りだ。

 就任式では、ポーランドやベラルーシ、リトアニア、ハンガリー、アルメニアの、国家最高指導者が訪れた。しかしながら、ロシアは、大統領のメドベージェフ、首相のプーチンのどちらとも訪れなかった。このことが、少々物議を醸し出しているようだ。(ちなみに、ロシアは、国会の議長であるBoris Gryzlovと、Presidential administrationである Sergei Naryshkinを派遣した。)一方で、EUは外交長官のCatherine Ashtonを、アメリカは国家安全保障大統領補佐官のJames Jonesを派遣した。

 ウクライナ側は、メドベージェフを招待したという。そして、ロシア側は、メドベージェフの欠席は、政治的なものではなく、純粋な予定の問題であり、また就任式は単なる儀礼上のものだと説明している。しかし、アナリストのVladislav Belov氏は、メドベージェフとプーチンの外交上の関係を考慮した結果、どちらとも欠席という形を取ったと推測している。どちらを派遣するかという問題は、どちらが国家の顔となるかを意味するのだから、慎重になったということだろう。双頭体制ならではの問題だ。

 ヤヌコビッチは、まず、モスクワを訪問した後、来週にもブリュッセルを訪れるという。月曜日には、EUの指導者たちと会談するとロイター通信は報じている。更に、インタファクス通信は、3月5日にメドベージェフと会談すると伝える。このような、訪問の順番などが、どのようなことを表しているかが、争点になりそうだ。それでも、相変わらずウクライナはロシアの戦略的パートナーであると強調する声もある。

 
 ウクライナ自体、いまだに抱え込む問題は多い。特に大統領選で競った、首相ティモシェンコ氏との対立だ。ヤヌコビッチは、彼女に首相職を退くように述べたが、彼女は拒否している。しかも、議会では首相職のティモシェンコのほうが権限は強い。このような、ねじれた状況をいかに打破するかが注目すべきところである。
 結局は、ロシアとヨーロッパの間でいかに存在するかに行き着く。そこでの、中立というのは、恐らくは理想的なものである。けれども、それぞれが抱える事情は複雑だ。経済の依存は然り、また東西で意見が分かれているというのも考え物だ。日本メディアは「東西断絶」と言っているが、これも一理あるかもしれない。けれども、誰が親ロシアで、誰が親欧米だといって、物事を計るは、少し安易な気がする。ティモシェンコも、ロシアとの関係修復というのは公言していたのだから。構図を描く上では、色分けをしたほうが簡単だが、事情はそんなに簡単ではないはずだ。
 どちらかに、極端に傾くというのが、一番危険な気がしてならない。だからこその、「中立」だと思うのだが、是非とも遂行すべきだと思う。



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2010年02月25日

入隊したくない!

 ロシアの世論調査機関VTsIOMの調査によると、応答者(1600人)の75%が、軍隊に入隊したくないということが分かった。理由としては、hazing(軍隊内での苛め、特に新兵苛めなどを指すと推測)が挙げられている。また、今回と似たような調査が2000年にも行われたが、当時に比べて、30%ほど入隊を嫌う人々は増加した、とも報告されている。実際ロシアでは、2008年に、義務徴兵が2年から1年へと軽減され、苛めの件数こそ減少はしているが、今回の調査では、依然苛めへの懸念が高いことが証明された。
 応答者の51%は、戦死するのが怖いという回答をした。しかしながら、第2次チェチェン戦争の真只中だった2002年は、戦死を恐れる人は約60%を占めていた。少しずつ、変化が現れているということだ。また、応答者の半分は、最愛の人が入隊するのは見たくないとし、一方で、3分の1が逆の考えを示した。


 このような傾向の要因は、ロシア軍部の状況によるところが大きいようだ。軍部は、近年、軍隊腐敗や老朽化した兵器などの問題を抱えている。それに対し、メドベージェフ大統領は、古い兵器を「継ぎ接ぎ」のようにして使うことは止め、質の高い近代兵器に全面的に移行してゆくべきだと主張している。


 双頭体制が成立した際に、公約の中に「腐敗の除去」というのが含まれていた。そして、数日前に政府が警察腐敗の一掃に乗り出したということは、記憶に新しい。すると、軍部の腐敗除去が行われたとしても、少しもおかしくはない。勿論、安易に行動に踏み切ることは難しいところがあるが。また、老朽化した兵器という点については、フランスから近代兵器を購入したということが、大きなニュースとして挙げられる。近代兵器への移行も、着々と進められていると見ても差し支えは無いかもしれない


 思うことは、政府はやはり実行力を持っているということだ。その気になれば、実力行使も辞さないほどに。ちなみに、数ヶ月前に大統領権限で、対外進出も可能になったことも留意しておきたい。



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2010年02月08日

ロシアに見るリアリズム

 ロシア政府には、国際社会におけるリアリズム的側面を大いに考えさせられる。


ロシアが新軍事ドクトリン承認 核抑止力なお依存


【モスクワ=坂井光】ロシアのメドベージェフ大統領は5日、国防の基本方針である新しい軍事ドクトリンを承認し、発表した。焦点の核兵器について「軍事紛争を阻止する手段の一つとして十分な量を維持する」と明記し、核抑止力に依存する立場に変わりがないことを強調した。ロシアへの脅威として具体的に北大西洋条約機構(NATO)と米ミサイル防衛(MD)計画に初めて言及し、米国への対抗意識も浮き彫りとなった。

 軍事ドクトリンの見直しは2000年以来。新ドクトリンでは核兵器使用の条件について「核や大量殺りく兵器でロシアや同盟国が攻撃を受けた場合の反撃手段として核を使用する権利を保持する」と指摘した。通常兵器による攻撃でも国家の存続が脅威にさらされれば核を(先制)使用できるとした。   2010/02/08 20:10 NIKKEI NET


 ロシア対西欧米という構図がよりはっきりしてきた。それでも、ロシアが実際に西欧米などの大国に実力行使をすることは、リスキーである。これは、国際外交における発言力をより高めるためのパフォーマンスだと捉えた方が、一般的だろう。ただ、ロシアには、世界史で学んだような、本来的な外交が見て取れる。

 戦後から65年経ち、「平和ぼけ」しているとも言える日本人にとっては、国際社会がリアリズム的であると見なすことは難しいかもしれない。しかしながら、世界は、というより国家というものは、決してそのリアリズム性を忘れていない。常に、自国の防衛について考え、国家の安全を求める姿勢というのは、ごく普通のことである。だから、「平和」という理想に縛られた、ある意味偏った世界の見方というのは、少し危険なのかもしれない。(ただし、平和という概念を否定しているわけではない。)そのような、「現実性」をロシア政府は端的に教えてくれる。

 
 鳩山首相が、北方領土について言及したが、より現実的なイメージを以て、話し合いに取り組んでもらいたいものだ。


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posted by Itta at 20:47| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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